こんにちは。
絶賛、マイホームを計画中の「ゆうき」です。
一級建築士として、現場監督や設計、工事監理の経験が10年以上あります。
・UA値、Q値、C値ってなに?
・性能に関係するの?
・初心者でもわかりやすいように解説してほしい!
こんな方のための記事となっております。
工務店のオープンハウスやハウスメーカーのモデルルームに行って「この住宅は、UA値が0.24です。」とか言われても、意味がわかりませんよね?
UA値やQ値、C値は、家の性能を表す指標なのですが、なかなかわかりにくい。
この記事では、とてもわかりやすく解説したので、是非読んでみてください。
注意ポイント
私は、北海道在住なので、「家の中で暖房をたいて、外に熱が逃げる」という前提で説明しますね。
タップできる目次
UA値、Q値、C値とは?
UA値とは
「UA値」は、断熱性能を表す値です。
以下は引用です。
外皮平均熱貫流率(UA値)は、住宅の内部から床、外壁、屋根(天井)や開口部などを通過して外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値です。
つまり、熱損失の合計を外皮面積で除した値で、値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネルギー性能が高いことを示します。
ホームズ君.COM
とあります。
用語解説
「外皮面積」⇒外に触れている壁や屋根などの面積のこと
「省エネルギー性能」⇒断熱性能のこと
つまり、「外に逃げようとする熱」を「外に触れている壁や屋根などの面積」で割ったものです。
住宅の大きさはバラバラなので、当然、300坪の大豪邸だと「外に逃げようとする熱」も大きいですので、それだけでは、断熱性能が良いのか悪いのかわかりません。
なので、「外に触れている壁や屋根などの面積」で割り返すことで、豪邸も一般的な住宅も同じ土俵で断熱性能を比較したりできるわけです。
下表をご覧ください。
A 300坪の大豪邸 | B 40坪の一般的な住宅 | |
---|---|---|
外に逃げようとする熱(W/K)・・・① | 1,000 | 170 |
外に触れている壁や屋根などの面積(㎡)・・・② | 4,000 | 550 |
UA値(W/㎡K)・・・①÷② | 0.25 | 0.31 |
断熱性能の比較 | 〇 | × |
上記の表のように、Aの豪邸の方は逃げる熱量が大きいですが、外に触れている面積も大きいので、UA値はBの一般的な住宅よりも低いです。
なので、Aの豪邸の方が断熱性能が優れていると判断できます!
注意ポイント
「外に触れている壁や屋根などの面積」には、「1階の床」も入ります。
1階の床も地面に熱が逃げるからです。
参考
詳しいUA値の算定方法は、ホームズ君.COMをご覧ください。
Q値とは
Q値もUA値と同じ「断熱性能」を表す値です。
以下は、引用です。
熱損失係数とは、一般的に「Q値」といわれているもので、住宅の断熱性能を数値的に表したものです。値が小さいほど断熱性能が高いことを表します。
熱損失係数は、外壁や天井・床などの各部位の熱の逃げる量(熱損失量)を計算し、各部位の熱損失量を合計したものを延床面積で割って計算します
コーナー札幌
とあります。
違いは2点です。
- Q値は「換気による熱損失を考慮している」、UA値は「考慮されていない」
- Q値は「床面積で割る」、UA値は「外皮面積で割る」
現在は、Q値よりもUA値で断熱性能を表すことが多くなりましたが、UA値の場合は換気による熱損失を考慮していません。
なので、第一種換気(全熱交換機付き)にするのか第三種換気にするのかを含めて断熱計算をする場合は、Q値で検討しなければなりません。
例えば、同じ0.3というUA値を持つ2棟の住宅でも、第一種換気を採用するか第三種換気を採用するかでQ値が変わってきますよ!
C値とは
「C値」とは、「気密性」を表す値です。
以下は、引用です。
C値とは、住宅における相当隙間面積のことです。建物全体にある隙間面積(cm2)を延床面積(m2)で割った数値で、建物の気密性能の指標として用いられています。
C値の測定は、実際に建てられた建物内で、専門の気密測定試験機を使って行います。数値が小さいほど優れた気密性をもつ建物といえます。例えば、延床面積が40坪(132m2)の場合、C値が5.0なら隙間面積は660cm2(はがき約4.5枚相当分)、C値が2.0なら隙間面積は264cm2(はがき約1.8枚相当分)です。
住宅の気密性能を表す指標として「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主の判断の基準」(省エネ法)で用いられていますが、2009年(平成21年)に改定された際に、気密住宅の規定および数値基準などは削除されました。2013年に省エネルギー基準が改正されて以降は、建物と設備機能を一体化して建物の「一次エネルギー消費量」を評価する指標が使われている。
SUUMO
とあります。
つまり、「家全体の隙間」を「床面積」で割ったものです。
UA値と同様、住宅の大きさはバラバラなので、当然、300坪の大豪邸だと「家全体の隙間」も大きいですので、それだけでは、気密性が良いのか悪いのかわかりません。
なので、「床面積」で割り返すことで、豪邸も一般的な住宅も同じ土俵で比較できます。
下表をご覧ください。
A 300坪の大豪邸 | B 40坪の一般的な住宅 | |
---|---|---|
家全体の隙間(cm2)・・・① | 600 | 50 |
床面積(m2)・・・② | 972 | 130 |
C値(cm2/m2)・・・①÷② | 0.62 | 0.38 |
気密性の比較 | × | 〇 |
上記の表では、Bの一般的な住宅の方がC値が低いため、気密性が高いといえます。
気密性が低いと、隙間から外の冷気が入り込んで、室内の空気を冷やし「内部結露」と呼ばれる不具合が発生します。
内部結露は、カビの温床になり健康被害や、構造部材を腐らせ、建物の寿命がどんどん短くなります。
そのほか、別記事で、C値が低いと床が冷える原因にもなるということを書いていますので、そちらも参考にしてください。
床暖房のデメリット5つ!断熱・気密を高めれば床暖房は不要
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ちなみに測定方法は、専用の機械を使って家の中に負圧にし、どのくらいの時間で圧力が戻るか(空気が中に入ってくるか)で測定します。
UA値とC値の大きな違い
- UA値は、計算で求める理論値
C値は、完成間近に測定して求める実測値
理論値と実測値の違いというのは、大きなポイントなので覚えておきましょう!
UA値、C値の基準は?
UA値の基準
UA値の基準は様々あるのですが、私は「HEAT20 G2基準」で定められている断熱性能を確保するべきだと思っています。
理由は、30年以上その家に住む場合に費用対効果があるのがこの辺りだからです。
HEAT20 G2基準よりも断熱性能を高めることは可能ですが、断熱材などの材料費がかかるわりに、効果が出づらくなると考えられます。
下表がそれぞれの基準で定められているUA値です。
地域No⇒ | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | |
北海道 | 北海道 | 青森・岩手など | 東北・長野など | 関東~九州北部 | 関東~九州北部 | 宮崎・鹿児島 | 沖縄 | 費用対効果 | |
省エネ基準 | 0.46 | 0.46 | 0.56 | 0.75 | 0.87 | 0.87 | 0.87 | - | × |
ZEH基準 | 0.4 | 0.4 | 0.5 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | - | △ |
HEAT20 G1 | 0.34 | 0.34 | 0.38 | 0.46 | 0.48 | 0.56 | 0.56 | - | 〇 |
HEAT20 G2 | 0.28 | 0.28 | 0.28 | 0.34 | 0.34 | 0.46 | 0.46 | - | ◎ |
HEAT20 G3 | 0.20 | 0.20 | 0.20 | 0.23 | 0.23 | 0.26 | 0.26 | - | 〇 |
上記のように、地域ごとに基準値が定められています。
もし、予算に余裕があれば、HEAT20 G3基準の超高断熱住宅を目指しても良いと思います。
C値の基準
C値の基準は、2009年(平成21年)に省エネ法が改定された際に削除されたので、基準はありません。
もちろん低いに超したことはないのですが、優良工務店だと0.2~0.5くらいの値を出すことができるので、個人的にはこの辺りの値を出せる会社にお願いしたほうが良いと思っています。
是非、工務店のオープンハウスなどに行ったときは、「この家のC値はいくらですか?」と聞いてみましょう。
0.2~0.5以下であれば文句なしで合格です!
基準削除の不思議
近年は、省エネ、高気密・高断熱をどんどん進めていく流れがあります。
そんな中、C値の基準が削除されたというのは、明らかに時代の流れに逆行してます。
これについては、気密性の確保が困難な某大手ハウスメーカーが圧力をかけたなど、住宅業界の黒い噂があります。
これはあくまでも噂で、実際は各社の施工精度が上がり、基準を設けなくてもC値2.0~2.5程度は確保できるだろうということで削除されたのではという見解もあります。
ただ、実際ハウスメーカーはC値を公表していないばかりか、測定すら実施していないところがたくさんあります。
C値は、基準はありませんがとても重要な値なので、気になる工務店のオープンハウスやハウスメーカーのモデルハウスに行ったら必ず聞いてみましょう!
C値は実測値なので、その会社の技術力がわかりますよ。
UA値、Q値、C値:まとめ
- UA値⇒断熱性能を表しており、計算で求める理論値
- C値⇒気密性能を表しており、測定して求める実測値
- どちらも小さい方が性能が良い
これくらいを覚えておけばいいでしょう。
どのくらいの性能を求めるかは、人それぞれですが、先に書いた値を参考にしてください。
参考に、私が良く読んでいる「Replan(リプラン)」という雑誌に載っている地域工務店のUA値、C値はこんな感じです。
A社
UA値:0.24W/㎡K
C値:0.30cm2/㎡
B社
UA値:0.25W/㎡K
C値:0.20cm2/㎡
C社
UA値:0.22W/㎡K
C値:0.13cm2/㎡
と、驚異的な値が出てます。どの工務店の値も日本トップクラスです。
最後に、別記事で「家は性能」で有名な大手ハウスメーカーの一条工務店と地域工務店のC値を比較していますので、そちらも参考にしてみてください。
【C値対決】一条工務店VS地域工務店
続きを見る
北海道版・東北版・関西版があるよ!
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(2020/5/24追記)
この記事の修正にあたり、松尾設計室の松尾先生のYouTube動画を参考にさせていただきました。
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