こんにちは。
絶賛、マイホームを計画中の「ゆうき」です。
一級建築士として、現場監督や設計、工事監理の経験が10年以上あります。
・耐震、免震、制震って何が何なの?
・耐震の基本的なことについて知りたい!
・住宅の耐震等級って?
こんな悩みを解決します。
難しいタイトルですが、初心者向けにわかりやすく解説したので、是非最後まで読んでみてください。
この記事の内容
- 日本の耐震基準について
- 耐震・免震・制震とは?
- 住宅の耐震等級について
タップできる目次
日本の耐震基準
まずは、日本の耐震基準についてさくっと解説します。
基本的には以下の2つの考え方から成り立っています。
耐震基準2つの考え方
- 中地震(震度5~6弱)は、損傷しちゃダメ
- 大地震(震度6強~7)は、倒壊しちゃダメ
大きくこの2つの考え方で建築基準法の耐震基準は出来ています。
中地震(震度5~6弱)は、損傷しちゃダメ
中地震については、建築物のライフサイクル(新築してから解体されるまで)の中で、1~2度経験する地震と言えます。
そんな地震に対して、壊れてもいいよという基準では、多くの建て主は補修工事を行わなければなりませんよね。
なので、建築基準法では、中地震における建築物の損傷は許容していません。
中地震では、部分的にでも壊れちゃダメということです!
大地震(震度6強~7)は、倒壊しちゃダメ
それに対して大地震は、建築物のライフサイクルの中で、1度経験するかもしれない地震と言えます。
もちろん1度も経験しないで解体される建築物も多くあります。
なので、すべての建築物を大地震でも損傷しないような高い耐震基準を定めてしまうと、多くの費用がかかってしまいますよね。
そのため、建築基準法では、大地震時の部分的な損傷を許容しています。
つまり大地震時は、部分的になら壊れてもしょうがないよ。
ということです。
ただし、倒壊・全壊してしまったら建築物の中にいる人は無事では済まないですよね。
なので、倒壊・全壊しないように設計をしなさいとなっているのです。
人命を守るための必要最低限の耐震性といえますね。
耐震・免震・制震とは
「耐震」「免震」「制震」など、似たような用語が並んでおり、わかりにくいですよね。
ひとつずつ見ていきましょう。
「耐震」とは
文字通り、「地震の揺れに耐える」構造です。
地震力をそのまま受けますが、地震力よりも柱や壁の耐力を上げて、地震による損傷を防ぎます。
メリット
- どのハウスメーカー、工務店でも対応可能
- 初期費用が安い
デメリット
- 揺れをそのまま受けるため、家具の転倒の恐れあり
- 間取りや開口部の制約がある
「耐震」は一般的な構造で、基本的に一戸建て住宅などの低層の建築物は、ほとんどが耐震構造です。
「免震」とは
最近では、「免震」という名前もかなり浸透してきましたね。
免震とは、「地震の揺れを受け流す」構造です。
基礎部分などに免震装置と呼ばれる積層ゴムを設置するのが一般的です。
メリット
- 地震による構造体・仕上材の損傷がほとんどない
- 揺れを吸収するため、家具の転倒リスクが低い
デメリット
- 初期費用、メンテナンス費用が高い
- 専門工事業者が少ない
免震構造は、「役所」や「病院」など、災害時に拠点となるような建築物に採用されることが多いです。
「制震(制振)」とは
制震(制振)とは、「地震の揺れを吸収する」構造です。
壁部分に制震ダンパー(制御装置)と呼ばれる斜材を入れるのが一般的です。
メリット
- 地震による構造体・仕上材の損傷の可能性が低い
- 高層の建築物に有効
デメリット
- 家具転倒のリスクがある
- 専門工事業者が少ない
制震構造は、上階に大きい地震力がかかる高層ビルなどに使われるのが一般的です。
住宅の耐震等級
最後に「住宅の耐震等級」について、見てみましょう。
耐震等級とは
以下は引用です。
耐震等級とは、住宅の耐震性能をランク付けした等級のことです。
住宅性能表示制度の「構造の安定に関すること」の項目で、等級1から等級3まで3段階で表示されています。
等級1は、建築基準法レベルの耐震性能を満たす水準とし、等級2はその1.25倍、等級3は1.5倍の強さがあることを示します。一般的に等級が上がるほど柱や梁が太くなり、窓などの開口部が小さくなる制約が出やすくなります。
ライフルホームズ
住宅性能表示制度とは?
平成12年に制定された「住宅の品質確保の推進等に関する法律(品確法)」で定められている、住宅の性能をわかりやすく表示する制度。
上記にあるように住宅の耐震等級には、「耐震等級1~3」まであります。
耐震等級1
「耐震等級1」は、最初の「日本の耐震基準」で述べた震度5~6弱で損傷しない、震度6強~7で倒壊しないレベルです。
つまり、耐震等級1は命を守るための最低限の耐震性を有しているといえます。
耐震等級2
「耐震等級2」は、日本の耐震基準の1.25倍の安全率を持たせています。
災害時に避難所としての役割を持つ「学校」や被災者を受け入れる「病院」もこれと同基準で建てられている場合が多いです。
耐震等級3
「耐震等級3」は、日本の耐震基準の1.5倍の安全率を持たせています。
災害拠点となる「役所」や「消防署」などもこれと同基準で建てられている場合が多いです。
南海トラフ地震などの発生リスクが高まっている今、より高い耐震等級の住宅を建てることも検討したほうが良いですね!
耐震・免震・制震?日本の耐震基準の考え方、耐震等級とは:まとめ
耐震・免震・制震について
個人的には、「免震構造」や「制震構造」を一戸建ての住宅に使うのは、費用対効果が低くあまりおすすめしません。
上記に書いたように、災害拠点になる建築物や高層建築物などに使うとメリットが高いからです。
どの会社でも対応可能な「耐震構造」をおすすめします!
どうしても免震構造などを希望する場合は、長期的なメンテナンスも必要となってくるので、その費用も考慮して検討しましょう!
耐震等級について
耐震等級については、ハウスメーカーなどのHPを見ると「耐震等級3を標準仕様としています」といったように耐震性をアピールしています。
CMなどで見たことがある方も多いと思いますが、大手ハウスメーカーは、一戸建て住宅の実物大を造り、実験により耐震性が確保されているか確かめているところが多いですね。
耐震等級3のハウスメーカー【5選】耐震住宅で選ぶならココ!
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工務店では、このような大規模な実験は不可能なので、耐震性という面では、工務店よりも大手ハウスメーカーが一歩進んでいるといった印象です。
工務店でも耐震等級2以上を確保するには可能ですが、構造計算費用など別途追加費用がかかるところが多いと思います。
一戸建て住宅が主に該当する「4号建築物」は、基本的に構造計算が不要です(例外あり)。
なので、耐震等級1(建築基準法の耐震基準と同等)であれば、構造計算も不要で費用を抑えられます。
4号建築物とは
建築基準法第6条第1項第4号に該当する建築物。
・木造⇒2階以下かつ延べ面積500㎡以下かつ高さ13m以下かつ軒の高さ9m以下
・木造以外⇒平屋かつ延べ面積200㎡以下
などが、該当します。
4号建築物が構造計算などを行わなくてよい特例のことを「4号特例」と言います。
費用はかかるけど、やっぱり地震はこわいし、耐震等級3にした方がいいかな…。
2018年に北海道でも大きな地震があったし…。
悩みどころだね…。
それなら実際に構造の専門家の話を聞いてみよう!
建築構造の専門家である「構造塾」の佐藤先生のYouTube動画を見てみましょう。
佐藤先生は、実際に熊本地震が起きた益城町にも調査で訪れており、耐震等級3の必要性を訴えています。
実際に地震で住めなくなった住宅を目の当たりにした佐藤先生の言葉はとても説得力がありますね。
「耐震等級1でも命は守れるんだし、1でいいかな」と考えている方も多いと思います。
しかし、佐藤先生がおっしゃるように「耐震等級3は必須」と言っても過言ではないと思います。
耐震等級3にするためにかかる費用は、30~40万円が相場です。
それをケチる代償というのは大きそうですね…。
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