こんにちは。
絶賛、マイホームを計画中の「ゆうき」です。
一級建築士として、現場監督や設計、工事監理の経験が10年以上あります。
・断熱性能って、日本全国同じでいいの?
・省エネ基準の地域区分ってなに?
・住んでいる地域に必要な断熱性能を知りたい!
こんな疑問にお答えします。
省エネの基準は、最低限と言われる省エネ基準(H28年改正)からより高い基準のHEAT20 G3など、様々です。
この記事では、どの基準でも適用される地域区分について解説します。
この記事の内容
- 省エネの地域区分とは
- 省エネ基準の種類
- どの基準を目指せばよいのか
タップできる目次
省エネの地域区分とは
まず、省エネの地域区分について解説します。
日本は、北海道のように寒さが厳しい地域や九州・沖縄のように温暖な地域などがありますよね。
地域によって気候が大きく変わるため、省エネの基準も地域によって分かれています。
上記の地域区分では、例えば2地域と3地域の境目付近に位置する市町村などは、どっちの区分なのかよくわからないですよね。
その場合は、一覧表になっている以下のPDFファイルをご覧ください。(国土交通省より引用)
このファイルは、2019年11月の法改正で一部の地域区分が変更になった際の新旧対照表です。
私が住んでいる地域は、もともと「1地域」でしたが、今回の法改正で「2地域」に変更になりました。
地域区分の変更があった理由としては、地球温暖化の影響などが考えられますね。
上記の地域区分にある「外皮平均熱還流率(UA値)」については、別記事で詳しく解説していますので、「UA値ってなに?」と思った方はそちらもご覧ください。
UA値、Q値、C値とは?初心者向けにやさしく解説!住宅業界の闇も…
続きを見る
省エネ基準の種類
次に、省エネ基準の種類について解説します。
省エネ基準の種類
- H28省エネ基準
- ZEH基準
- HEAT 20 G1基準
- HEAT 20 G2基準
- HEAT 20 G3基準
ひとつずつ確認していきましょう。
1.H28省エネ基準
建築物省エネ法で規定されている省エネ基準で、日本における最低の基準です。
当初、2020年に義務化される予定でしたが、諸外国から見てもかなり低レベルの基準にも関わらず、義務化は見送りになりました。
松尾設計室の松尾先生曰く、この数値はドイツの基準の6分の1の低さということです。
H28省エネ基準のUA値は、以下のとおりです。
地域No | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
主な地域 | 北海道 | 北海道 | 青森・岩手など | 東北・長野など | 関東~九州北部 | 関東~九州北部 | 宮崎・鹿児島 | 沖縄 |
UA値 | 0.46 | 0.46 | 0.56 | 0.75 | 0.87 | 0.87 | 0.87 | ー |
2.ZEH基準
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の補助を受ける際に、必要となってくる基準です。
H28省エネ基準よりも高い基準ですが、それでもまだ十分とは言えない断熱性能です。
ZEHについては、別記事で解説していますので、、「ZEHってなに?」と思った方はそちらをご覧ください。
【2021年度】ZEH(ゼッチ)のメリットとデメリットとは?
続きを見る
ZEH基準のUA値の基準は、以下のとおりです。
地域No | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
主な地域 | 北海道 | 北海道 | 青森・岩手など | 東北・長野など | 関東~九州北部 | 関東~九州北部 | 宮崎・鹿児島 | 沖縄 |
UA値 | 0.40 | 0.40 | 0.50 | 0.60 | 0.60 | 0.60 | 0.60 | ー |
3.HEAT 20 G1 基準
HEAT 20とは、2009年から始動した「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」で、省エネに関する有識者が集まった民間団体です。
HEAT 20には、3種類の基準があり、その中で一番低い基準が「G1基準」です。
HEAT 20 G1基準のUA値は、以下のとおりです。
地域No | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
主な地域 | 北海道 | 北海道 | 青森・岩手など | 東北・長野など | 関東~九州北部 | 関東~九州北部 | 宮崎・鹿児島 | 沖縄 |
UA値 | 0.34 | 0.34 | 0.38 | 0.46 | 0.48 | 0.56 | 0.56 | ー |
4.HEAT 20 G2 基準
HEAT 20では、中間の基準です。
30年以上住むのであれば、この基準が最も費用対効果が高いと言われています。
私は、最低でもこの基準を満たすべきと考えています。
HEAT 20 G2基準のUA値は、以下のとおりです。
地域No | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
主な地域 | 北海道 | 北海道 | 青森・岩手など | 東北・長野など | 関東~九州北部 | 関東~九州北部 | 宮崎・鹿児島 | 沖縄 |
UA値 | 0.28 | 0.28 | 0.28 | 0.34 | 0.34 | 0.46 | 0.46 | ー |
5.HEAT 20 G3 基準
2019年6月に発表された基準で、HEAT 20の最高レベルの基準です。
かなり厳しい基準となっており、これをクリアできるハウスメーカー、工務店は限られてくると思われます。
60年以上の超長期で考えた場合に、ランニングコストでメリットが出てくると思われます。
今後はこの基準を目標とする地域工務店が増えていきそうです。
HEAT 20 G3基準のUA値は、以下のとおりです。
地域No | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
主な地域 | 北海道 | 北海道 | 青森・岩手など | 東北・長野など | 関東~九州北部 | 関東~九州北部 | 宮崎・鹿児島 | 沖縄 |
UA値 | 0.20 | 0.20 | 0.20 | 0.23 | 0.23 | 0.26 | 0.26 | ー |
省エネ基準の種類と地域区分とは?地域によって必要な断熱性能は違う:まとめ
今回は、省エネ基準と地域区分について、解説しました。
UA値については、公的な基準、民間団体の基準含め多くの基準がありますが、どれも義務化はされていません。
しかし、断熱性能の低い住宅を建てると快適性は確実に落ち、冷暖房費もどんどん膨らんでいきます。
なにより、多くのCO2を排出することで、地球環境に影響を及ぼしますよね…。
大手ハウスメーカーの一条工務店が、「高気密・高断熱」を売りに爆発的な人気を博していることからもわかるように、これからも「高気密・高断熱住宅」の需要は加速すると考えられます。
家づくりに求めるものは、他にも「デザイン性」や「耐震性」、「知名度」、「メンテナンス性」など人それぞれだと思います。
しかし、「快適性」を無視しても構わないと考えるでしょうか?
まずは、日常の「快適性」を求め、高気密・高断熱住宅を目指すことをおすすめします。
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