こんにちは。
絶賛、マイホームを計画中の「ゆうき」です。
一級建築士として、現場監督や設計、工事監理の経験が10年以上あります。
・第1種換気ってなに?
・第1種換気は、設置費用が高いけど回収できるの?
・北海道なら何年くらいで回収可能?
こんな疑問を解決します。
住宅で使われる換気設備には、主に「第1種換気」と「第3種換気」があります。
ググるとメリットやデメリットがたくさん出てきますよね。
そこで、迷ったときには「どのくらい費用対効果があるのか」で判断するのも手です。
ということで、松尾設計室の松尾先生のYouTube動画を参考にさせていただき、北海道の気候で算出してみました!
この記事の内容
- 第1種換気とは
- 第3種換気とは
- 第1種換気の費用対効果
タップできる目次
第1種換気とは
第1種換気設備とは、
給気→機械
排気→機械
で行う換気のことを言います。
全熱交換機が付属してあることがほとんどで、省エネ効果が期待できます。
全熱交換機とは
全熱交換機の「全熱」とは、「潜熱」と「顕熱」のこと。
潜熱とは、目に見えない熱量である「湿度」を指し、顕熱は、目に見える熱量の「温度」を指します。
全熱交換機の特徴は、室内の温かい空気を排気する際に、屋外の冷たい空気に熱を移動させ、温められた空気を給気することで省エネ効果を発揮します。
高気密・高断熱住宅ではよく使われますね!
第3種換気とは
第3種換気とは、
給気→自然
排気→機械
で行う換気のことを言います。
浴室やトイレなどの空気が悪かったり、湿度が高い箇所から排気し、室内の空気の圧力が下がることで、給気口から自然と外気が入ってきます。
構造が簡単で初期費用を抑えることができ、電気代も安く済みます。
ただし、C値が高い(気密性が悪い)と、室内の圧力が下がらず、給気口から空気が入ってこないので、ある程度(C値1.0以下)の気密性能は必要です。
気密性については、別記事にも書いていますので、参考にしてください。
【C値対決】一条工務店VS地域工務店
続きを見る
UA値、Q値、C値とは?初心者向けにやさしく解説!住宅業界の闇も…
続きを見る
第1種換気の設置費用と電気代は何年で回収可能?
それでは、本題の費用対効果について試算していきましょう。
試算に当たっては、松尾設計室松尾先生のYouTube動画「一種換気つけたほうがいいか自分で判断する方法」が2020年5月26日にアップされたので、その算出方法をお借りして計算してみたいと思います。
松尾先生は、明石市で計算していますが、私は北海道に建築予定なので、北海道の気候で計算してみます。
条件設定
最初に、どのような条件で計算するか設定します。
北海道なので、冬と夏の平均外気温は低めですね。
設定温度は、エアコンによる暖房の場合、対流が生まれるため体感温度が低めになります。そのため、動画よりも3℃高めに設定しています。
また、換気は24時間換気が基本なので、第1種換気の稼働日数は1年中(365日)としています。
条件設定
- 延床面積 120㎡
- 外皮表面積 280㎡
- 容積(体積) 300㎥
- 換気回数 150㎥/h
- UA値 0.3W/㎡K
- 空気が運べる熱量 0.35W/㎥K
- 冬の平均外気温 0.5℃(K)(10~4月)
- 夏の平均外気温 20.7℃(K)(7~8月)
- 冬の室内設定温度 23℃(K)
- 夏の室内設定温度 24℃(K)
- 第1種換気の熱交換効率 80%
- エアコンの実行効率(COP) 3
- 電気代の単価 28円/kWh
- 第1種換気の消費電力 39W
- 第3種換気の消費電力 3W
- 第1種換気の稼働日数 365日
- 第1種と第3種の設置費の差額 30万円
※平均外気温は、気象庁のホームページに載っている数値から計算しています。
※夏の平均外気温が20.7℃(7~8月)となり、室内の設定温度24℃よりも低くなってしまうので、冷房負荷の計算はしないこととしました。
※K=ケルビン≒℃
第1種換気にすることで節約できる電気代
それでは、第3種換気から第1種換気にすることでどのくらいの電気代を節約できるのか計算してみましょう。
まずは、第3種換気で逃げる熱量を計算します。
【第3種換気で逃げる熱量】
計算式
空気が運べる熱量×換気回数×(冬の室内設定温度-冬の平均外気温)
計算
0.35W/㎥K×150㎥/h×(23-0.5)K=1,181Wh・・・①
次は、第1種換気で逃げる熱量の計算です。
【第1種換気で逃げる熱量】
計算式
空気が運べる熱量×換気回数×(冬の室内設定温度-冬の平均外気温)×(1-第1種換気の熱交換効率)
計算
0.35W/㎥K×150㎥/h×(23-0.5)K×(1-0.8)=236Wh・・・②
求めた数値を引き算して、1時間でどのくらい得するのかを計算します。
【第1種換気で冬1時間に得する熱量】
計算式
①-②
計算
1,181Wh-236Wh=945Wh・・・③
一冬で得する熱量を算定するため、1日の時間数(24h)と日数を掛けます。
【一冬で得する熱量】
計算式
③×24時間×冬期間の日数
計算
945Wh×24h×210日=4,763kW・・・④
ちょっと、イメージしにくいですね…。
それでは、単価を掛けて節約できる電気代を算定します。
【一冬で節約できる電気代】
計算式
④÷エアコンの実行効率(COP)×電気代の単価
計算
4,763kW÷3×28円/kWh=44,457円・・・⑤
やはり、明石市よりも節約の効果がありそうですね!
第1種換気にすることで増える電気代
次に、第3種換気よりも第1種換気の方が、電気の消費量が大きいため、その分を差し引きします。
【第3種換気から第1種換気にしたときに増える年間消費電力】
計算式
(第1種換気の消費電力-第3種換気の消費電力)×24時間×第1種換気稼働日数
計算
(39-3)W×24h×365=315kWh・・・⑥
電気の単価を掛けて、金額を算出します。
【第3種換気から第1種換気にしたときに増える金額】
計算式
⑥×電気代の単価
ポイント
315kWh×28円/kWh=8,820円/年・・・⑦
年間でこのくらいなら、許容範囲かな!
第1種換気にすることで節約できるトータル金額
それでは、2つの金額を差し引きして、節約できる金額を算出します。
【節約できるトータル金額】
計算式
⑤-⑦
計算
44,457円/年-8,820円/年=35,637円/年・・・⑧
結果、これだけの金額が毎年節約することができそうです。
すごい!こんなに節約できるの!?
外気温との差が激しい北海道だと、かなり節約できそうだね!
設置費を回収できる年数
最後に、設置費を何年くらいで回収できるのか計算して、おしまいにします。
【設置費を回収できる年数】
計算式
第1種換気の設置費用÷⑧
計算
300,000円÷35,637≒9年
動画では、カタログ値の性能が出ない場合も検討されています。
しかし、どのような計算をされているのかは解説されていないのでわかりませんが、約1.8倍の年数は見ておいた方が良さそうですね。
それも考慮すると、約16年で回収ができそうです。
第1種換気の設置費用と電気代は何年で回収可能か?:まとめ
松尾先生の動画では、明石市の場合、設置費用や電気代の回収にかなりの年数を要すると解説しています。
今回計算してみた結果、北海道や東北などの寒冷地の方は、第1種換気を設置すると確実に元が取れることがわかりましたね。
我が家も今回の計算で、第1種換気がかなり有力になりました!
実際に決める際には、給気側のダクト内の清掃などのメンテナンス性も考慮して設置を決めると良いでしょう。
最後に、松尾設計室松尾先生の動画を見ていない方は是非ご覧ください。
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