こんにちは。
現在、マイホームを建築中の「ゆうき」です。
一級建築士として、現場監督や設計、工事監理の経験が10年以上あります。
- 日射遮蔽に有効な庇の長さはどのくらい?
- 緯度の高い北海道では、最適な庇の長さは?
- 有効な庇を設置して、夏の日射遮蔽をしたい!
こんな悩みを解決します。
夏の冷房負荷を減らすためにとても有効なのが「庇の設置」です。
シャッターなどと比べて、低コストで設置でき、開け閉めも不要なのにも関わらず、夏にはしっかり日射を遮蔽し、冬には日射を目一杯取り込むことができます。
しかし、東京と私が住む北海道では、夏至と冬至の太陽高度が違うため、最適な庇の長さも異なります。
この記事では、「東京と北海道での最適な庇の長さの違い」について解説します。
一般の方はもちろん、工務店やハウスメーカーの方にとっても、有益な記事となってると思いますので、ぜひ最後までご覧ください。
それでは、続きをどうぞ。
こんな方におすすめ
- 東京、北海道での最適な庇の長さが知りたい
- 庇を設置して、夏の冷房負荷を減らしたい
- 夏の日射遮蔽、冬の日射取得をしたい
タップできる目次
最適な庇(ひさし)の長さはどのくらい?【庇とは】
まず最初に、「庇(ひさし)」について、簡単に解説します。
庇(ひさし)とは
玄関や窓の上部に設置する雨や日差しを遮るための小さな屋根。
南面の窓の上部に設置することで、太陽高度の高い夏は日射を遮り、太陽高度の低い冬は日射を取り込むことができる。
↓具体的には、こんなやつですね!
日射取得と日射遮蔽については、窓の上の「軒の出」でも同じ効果が期待できるので、「庇は設置できないけど、軒の出はある」という方は、庇を軒の出に置き換えてこの記事を読んでみてくださいね。
最適な庇(ひさし)の長さはどのくらい?【東京での最適な庇の長さ】
それでは、本題の「最適な庇の長さ」について解説していきます。
まずは、東京から。
1.東京での最適な庇の長さ
まずは、東京での最適な庇の長さについてですが、結論から申し上げると、
床から庇の高さ:壁から庇の先端の長さ=10:3
と言われることが多いです。
つまり、床から庇の高さが3mであれば、0.9mの長さの庇が適切といえます。
それでは、なぜ10:3が最適といえるのでしょうか。
2.東京では、10:3が最適といえる理由
床から庇の高さ:壁から庇の先端の長さが10:3の場合、日射を完全に遮ることができる太陽高度は、約83.3°になります。
そして、下の図のように東京(北緯35.7度)での夏至の正午の太陽高度は、約78°となりますので、若干日射は入りますが、ほとんどの日射を遮ることができるということです。
ポイントは、夏至の正午で、南面の一番大きな掃き出し窓がギリギリすべて影になるくらいがベストです!
最適な庇(ひさし)の長さはどのくらい?【北海道での最適な庇の長さ】
それでは次に、「北海道での最適な庇の長さ」は、どのくらいなのでしょうか。
1.北海道での最適な庇の長さ
北海道での最適な庇の長さは、
床から庇の高さ:壁から庇の先端の長さ=10:4
であると私は考えています。
つまり、床から庇の高さが3mであれば、1.2mの長さの庇が適切といえます。
それでは、東京の10:3と違い、なぜ北海道の場合は10:4が適切なのでしょうか。
2.北海道では、10:4が最適といえる理由
床から庇の高さ:壁から庇の先端の長さが10:4の場合、日射を完全に遮ることができる太陽高度は、約78.5°になります。
そして、下の図のように、北海道富良野市(北緯43.3度)での夏至の正午の太陽高度は、約70°ですので、東京よりも少し日射が入りますがおおむね日射遮蔽ができるといっていいと思います。
また、北海道の場合は東京と違って、夏の暑さがそこまで厳しくないので、多少日射が差し込んだとしても冷房負荷に与える影響はそこまで大きくはないでしょう。
しかし、年々、地球温暖化が進むなか、これからマイホームを新築する場合は、少しでも日射を遮蔽するに越したことはありませんよね…。
また、函館と稚内では、北緯で3.6度も差があるので、函館であれば 1.0〜1.1m程度の庇でも十分だと個人的には思います。
このように、緯度の違いによって、夏至の太陽高度が異なるため、緯度が高い北海道の場合は、より長く庇を出さないと日射遮蔽ができないということです。
最適な庇(ひさし)の長さはどのくらい?【北海道での注意点】
北海道で夏の日射遮蔽と冬の日射取得をしようとした場合、注意すべき点が3つあります。
注意点3つ
- 庇が長すぎて、雪の荷重に耐えられない
- 3〜4月の日射取得が十分にできない
- そもそも冬の日射取得が難しい
ひとつずつ解説します。
1.庇が長すぎて、雪の荷重に耐えられない
先に書いたように、床から庇までの高さが3mの場合は、1.2mの長さの庇がないと有効に日射遮蔽ができないことになります。
しかし、庇を1.2mも柱無しで持ち出すことは、基本的に不可能です。
さらに、地域によって積雪量の差はありますが、北海道の場合は積雪荷重がプラスされるため、長い庇はめちゃくちゃ不利となります。
対策としては、下の図のように柱を立てることで長い庇は可能となります!
デメリットは、原則、庇の下部も建築面積に入れないといけなくなるなどの法的な規制が出てくるといったところでしょうか…。
この方法は、我が家でも採用したので、建ぺい率に余裕があるという方には、おすすめです。
日射遮蔽ができつつ、外部の縁側(通称:濡れ縁)になるので、春や秋はとても気持ちがいい空間にもなりますね!
それにしても、北海道での日射遮蔽は、なかなかハードルが高いですよね…。
2.3〜4月の日射遮蔽が十分にできない
東京であれば、3月くらいになると春の陽気が感じられ、かなり暖かい日もあると思います。
しかし、私が住んでいる地域の場合は、3月はもちろん4月も最低気温が氷点下の日が普通にあります。
できれば4月くらいまでは日射取得をしたいところですが、庇を長くすることで太陽高度が徐々に高くなる3〜4月の日射取得がかなり難しくなります。
もう、北海道での日射遮蔽は無理なのでは…。
3.そもそも冬の日射取得が難しい
北海道富良野市における冬至の太陽高度は23.3°と、東京の30.9°と比べてもかなり高度が低いです。
そのため、住宅街などで南側の隣家が2階建ての場合は、1階のリビングの冬の日射取得はほとんど期待できないと言っていいでしょう。
対策としては、リビングを吹き抜けにし、上部に大開口のサッシを設けて日射取得するという方法が考えられますね。
他には、漏水の可能性が高くなりますが、トップライトを設置するか、ハイサイドライトを設けるという方法もあります。
最適な庇(ひさし)の長さはどのくらい?【まとめ】
今回は、東京と北海道の最適な庇の長さについて紹介しました。
北海道の場合は、日射遮蔽がかなり困難であるため、ほとんど日射遮蔽を考えていない住宅がほとんどです。
私は最終的に日射遮蔽をする設計としましたが、あまりにも長過ぎる庇を設置して雪害で破損させるくらいなら、日射遮蔽は諦めてしまうのもひとつの選択肢だと思います。
その分、3〜4月の日射取得は目一杯できますしね。
対して、東京は雪の影響もほとんどなく、短い庇で有効に日射遮蔽ができ、夏の暑さも厳しいので、日射遮蔽は必須です!
東面や西面なども、外部にシェードやシャッターを設置して外側で日射を遮断することもかなり有効だと思います。
このような地域差を理解して、その地域に合わせた設計ができる会社・設計者に家づくりをお願いしたいですね!
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