こんにちは。
絶賛、マイホームを計画中の「ゆうき」です。
一級建築士として、現場監督や設計、工事監理の経験が10年以上あります。
・高気密高断熱住宅ってどんなメリットがあるの?
・逆にデメリットはないの?
・高気密高断熱住宅について知りたい!
こんな疑問にお答えします。
結論をいうと「高気密高断熱」は、家づくりをする上で絶対に外せないポイントです!
ここをおろそかにするなら、絶対に後悔するのでマイホームは建てないほうがいいと言ってもいいくらいです…。
今回は「高気密高断熱住宅の何が良いのかよくわからない」という方のために高気密高断熱住宅のメリット・デメリットについて、解説します。
この記事を読むと、
- 高気密高断熱の重要性がわかる
- 高気密高断熱のメリット・デメリットがわかる
- 高気密高断熱住宅にする際の注意点がわかる
こんな記事となっています。
それでは、続きをご覧ください。
こんな方におすすめ
- 高気密高断熱住宅について知りたい!
- 高気密高断熱住宅の何がいいかよくわからない…。
- 別に高気密高断熱住宅じゃなくてもいいと思っている。
タップできる目次
高気密高断熱住宅のメリット
高気密高断熱住宅のメリットは様々ありますが、この記事では私が考えるメリットを【7つ】紹介します。
高気密高断熱住宅のメリット
- 夏涼しく、冬暖かい
- 各部屋の室温が一定
- 冷暖房費の節約になる
- 吹き抜けがあっても寒くない
- 床が冷たくなりにくい
- 結露しにくい
- 外の音が気にならない
1.夏涼しく、冬暖かい
まずは、なんといってもこれに尽きると思います。
壁の中や外壁側に十分な断熱材を施工することで、外気温の影響を限りなく少なくします。
ほんの20〜30年前までの日本の住宅は、断熱材が入っていなかったり、気密性が低く隙間風が多くて、冬は寒いのが当たり前でした。
多くの人も「冬寒いのは当たり前」という感覚で、高気密高断熱住宅の暖かさを知らない人がたくさんいるのが現状です。
もちろん、外気温の影響を受けにくいので、夏は涼しい状態を保つことが可能ですよ。
ただし、夏に涼しい状態を保つには、設計上の注意点もあるので、それは後ほど解説します。
2.各部屋の気温が一定
昔の住宅は、リビングだけが暖かい又はこたつの中だけが暖かいというのが普通でした。
高気密高断熱住宅にすることで、各室の気温が一定になり 、快適性が格段に向上します。
北海道でこたつが普及していないのも、真冬に半袖でアイスを食べることができるのも、断熱性を高め建物全体を暖めることができているからです。
高気密高断熱住宅にしたらいらなくなるものNo.1は「こたつ」ですね!
また、各室の気温差がないことは、「ヒートショック」による事故を防止する効果もあります。
ヒートショックによる死者は、交通事故による死者の約5倍。
そういったリスクを減らせることもメリットといえますね。
3.冷暖房費の節約になる
高い断熱性能のおかげで、より少ない冷暖房費で日々の生活を送ることができます。
また、エアコンなどの高効率冷暖房器具を使用することで、初期費用を抑えつつ、さらに冷暖房費を節約することが可能です。
知らない人が多いエアコンの選び方については、「ホントは安いエコハウス」のレビュー記事で解説していますので、そちらもご覧ください。
「ホントは安いエコハウス」を一級建築士がレビュー
続きを見る
「ホントは安いエコハウス」は、家づくりをする上での必読書なので、是非読んでみてくださいね!
4.吹き抜けがあっても寒くない
「吹き抜けがあると寒い」というのは、常識となってしまっていますが、これは断熱性や気密性の低さが原因である場合が多いんです。
暖かい空気は、軽いため上部に溜まりやすいのは事実ですが、気密性が低いと上部の隙間から暖かい空気がどんどん逃げていきます。
そして、床面などの下部の隙間から冷たい空気がどんどん入ってくるため、吹き抜けの1階部分が寒くなります。
気密性を高くして、暖かくて開放的な吹き抜け空間を楽しみましょう!
5.床が冷たくなりにくい
これは、「4.吹き抜けがあっても寒くない」で解説した理由と同じで、冷たい空気が下部から入ってくることが少ないので、床が冷たくなりにくいといえます。
高気密高断熱住宅にして、さらに床暖房を設置する場合もあると思いますが、床暖房はデメリットも多く、そもそも高気密高断熱住宅にすれば床暖房は不要だと思っています。
ただ、床下空間は室温よりも低いため、床は室温より冷たくなってしまうもの。
その解決策としては、室内の空気を床下に循環させる仕組み(床下暖房、床下換気システムなど)を取ることで解決できます。
「床暖房」と「床下暖房」の違い
「床暖房」・・・フローリングのすぐ下の部分に細い配管を張り巡らせ、そこに温水などを流すことで床自体を温めるものです。
「床下暖房」・・・床下にエアコンやパネルヒーターなどを設置し、床下空間を暖めることで自然と床面を温めることができるものです。
名前が似ていますが、全く違うものなので注意しましょう!
床暖房のデメリットや床が冷たくなりにくい理由については、以下の記事で詳しく解説していますので、ご覧ください。
床暖房のデメリット5つ!断熱・気密を高めれば床暖房は不要
続きを見る
6.結露しにくい
結露とは、室内の湿気を含んだ暖かい空気が冷たいところに触れることで、急激に冷やされ、水分を空気中に保つことができなくなって起こります。
「高気密高断熱にすれば、絶対に結露は起きない」ということはありませんが、計画的な換気を併用するで湿度を下げれば結露を防ぐことは十分可能です。
また、壁の室内側には気密性を保つための気密シートを施工しますが、それがあることで室内の湿気を含んだ空気が壁の中に入り込むのを防ぎ、内部結露の防止に繋がります。
壁の中が結露でべちゃべちゃになる「内部結露」は、木材を腐食させて構造耐力を低下させたり、カビによる健康被害が発生するなど、絶対に避けなければなりません。
高気密高断熱住宅は、こういったリスクを回避することが可能です。
7.外の音が気にならない
気密性が高いことにより、外の音がほとんど聞こえません。
- 夜、雨の音が気になって寝られない
- 幹線道路の近くに新築予定
- 線路や踏切の近くに新築予定
こんな方にとっては、多くのメリットがありますよね!
ただ、「外の音がわからない」というのは、デメリットにもなりうるので、注意が必要です。
これについては、後ほど解説します。
高気密高断熱住宅のデメリット
続いてデメリットを紹介します。
正直デメリットはあまりないのですが、しいていえばこんなところかなと考えたものを【3つ】解説しますね。
高気密高断熱住宅のデメリット
- 初期費用が高い
- オーバーヒートするおそれ
- 外の音が聞こえないことによる弊害
1.初期費用が高い
断熱性を高めるには、断熱材を厚くしたり、ガラスをトリプルガラスにしたりする必要があるため、必然的に初期費用が高くなります。
具体的な金額は、どの程度の性能にするかによって変わるためなんとも言えませんが、最低でも数十万円から100万円以上になることが多いと思います。
しかし、HEAT20のG2基準以上の断熱性能にすれば、30年以上の長期にわたって住むと十分に元を取れると言われています。
HEAT20のG2基準とは、HEAT20という民間団体が提唱する断熱基準で、G1〜G3まであります(G3が最も断熱性能が高い)。
G2の断熱基準などは、以下の記事で詳しく書いていますので、そちらもご覧ください。
UA値、Q値、C値とは?初心者向けにやさしく解説!住宅業界の闇も…
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2.オーバーヒートするおそれ
断熱性能を高めると室内の暖かい空気が外に逃げにくくなります。
特に夏場は、日射による熱取得が大きくなり冷房を最大にしても温度が下がらないという現象になることがあります。
この状態をいわゆる「オーバーヒート」と呼ぶのですが、冷房費が増大するだけではなく、熱中症などのリスクも伴うので注意が必要です。
これを防ぐには、設計段階から「夏場の日射遮蔽」をしっかり考えておく必要があります。
有効な庇やシェードを設置することによって、日射による熱取得を最小限に押さえ、オーバーヒートを防ぐことができます。
3.外の音が聞こえないことによる弊害
外の音が聞こえにくい点については、メリットの7番目に紹介しましたが、これに関してはデメリットにもなる場合もあります。
例えば、「ゲリラ豪雨によって洪水や浸水の危険が迫っていても気づかない」ということもありえますよね…。
あとは、「近所で火災が発生し消防車が出動しているにも関わらず、サイレンの音に気づかない」ということもありえます。
滅多に起こることではないですが、そういったデメリットがあることも認識しておいたほうが良さそうですね…。
高断熱高気密住宅がこれからの住宅の基本となる
デメリットよりも多くのメリットがある高気密高断熱住宅ですが、今後もこの流れは加速するものと思われます。
なぜそういえるのか、解説していきます。
1.一条工務店の躍進
北海道では、一条工務店が年間の確認申請件数4年連続No.1(戸建て注文住宅)となりました。
その勢いは留まることを知らず、北海道以外の地域でも人気のハウスメーカーですよね!
一条工務店は、「家は性能」というキャッチフレーズにあるように、性能の良さが強みのハウスメーカーです。
各性能の中でも、断熱性能や気密性能は他のハウスメーカーよりも群を抜いて高いです。
一条工務店の人気の高さが、高気密高断熱住宅の需要が高まっているという証拠の1つといえそうです。
2.高気密高断熱住宅を得意とする地域工務店に根強い人気
地域工務店は、会社の規模は小さいものの、地元の工務店同士で切磋琢磨し、技術力の向上を図っています。
また、自社大工や他社でも専属の大工を抱えている場合も多く、優良工務店であるほど腕のいい大工が揃っています。
気密性は、完成後などに専用の測定機器で実測するもので、大工の技術力が数値にそのまま表れます。
年間数棟から10数棟くらいしか建てることができなくても、ひとつひとつの住宅の品質・性能が高いのが特徴です!
大手ハウスメーカーと比べて値段が手頃にも関わらず、性能が高いことから、こういった地域工務店の良さが徐々に広まりつつあります。
3.松尾設計室松尾氏の活躍
㈲松尾設計室の代表取締役である松尾和也氏は、「エコハウス」の普及活動や高気密高断熱住宅の重要性などの発信に積極に取り組んでいる方です。
youtubeでも有料級の動画をたくさんアップし、施主だけではなく、実務をおこなっている工務店や設計事務所にとってもとても参考になる内容となっています。
2020年9月時点でチャンネル登録者数は、3万人を突破し今のどんどん増えています。
著書も複数出版しており、以下は2020年8月に発売された「エコハウス超入門」という書籍です。
「超入門」というのは超初心者向けという意味ではなく、エコハウスについてほとんどのことを網羅しているということを表しているとのこと。
youtubeのチャンネル登録者数や本書の売上が好調で、本業の設計依頼も殺到しているとのこと。
松尾氏の活躍も、高気密高断熱住宅が人気であるという1つの証拠ですね!
高気密高断熱住宅を建てた人の口コミ
それでは、実際に高気密高断熱住宅を建てた方の口コミを見てみましょう。
良い口コミだけではなく、悪い口コミも少し見かけましたので紹介します。
1.良い口コミ
高気密高断熱の家は、冷房や暖房がとても良く効きますので、光熱費を節約できるといいますが、これはホントです。
外が猛暑日とかでなければ、家の中はひんやりとしているので、扇風機を回すだけで快適に過ごせます。
外気の影響を受けて暑くなってきたら、冷房を少しかけだけですぐに温度が下がり、さらに冷房効果が長く続きますよ。
やはり、一番多かった良い口コミは、「冷暖房費の節約」ですね!
外が少し暑いくらいであれば、外気の影響を受けず、扇風機だけで過ごせるとのこと。
光熱費が安いのは、やっぱりいいですよね!
防音性の高さがとてもいい
20代女性
「楽器を弾くのが趣味」という方には、防音性の高い高気密高断熱住宅はおすすめです。
私の家には、ピアノがあるのですが、窓を閉め切った状態であればピアノを弾いても外に音が漏れにくいです。
楽器を弾く方や、飛行機などの騒音が気になる地域の方は、大きなメリットですね!
外の音が聞こえにくいということは、メリット・デメリットで解説しましたが、室内の音も外に漏れにくいといえます。
特にこの方のように、楽器を演奏する方は、夜に楽器を弾いても問題ないかもしれないですね!
2.悪い口コミ
閉塞感を感じる
30代女性
高気密高断熱住宅は、なんとなく密閉感を感じます。
外の音があまり聞こえないので、とても静かで外界と隔離されてるような感覚です。
高気密住宅って、悪いわけじゃないけど実際どうなのかなーという気持ちですね…。
気密性が高く、外の音が聞こえにくいので、隔離・遮断されているような感覚に陥る方もいるみたいです。
敏感な方だと、そう感じる方もいるんですね…。
匂いがこもるので注意が必要
40代男性
匂いがこもるというデメリットは感じました。
2世帯住宅の2階に住んでいるのですが、料理中の1階の匂いがもろに2階に上がってきます。
もちろん24時間換気は回していますが、それではとても追いつきません。
料理中であれば、レンジフードを回すことでかなり匂いは押さえられますが、それでも匂いが上がってくるようですね。
特に全館空調などであれば、家の空気が常に循環しているので、空気清浄機などを併用する必要がありそうです。
高気密高断熱住宅のススメ【デメリットも解説】:まとめ
今回の記事では、高気密高断熱のメリット・デメリットを中心に解説しました。
ブログやyoutubeなどで高気密高断熱住宅について発信されている方も多く、段々とその良さが広まっているなという印象です。
ちなみに私は、建設予定地が2地域の北海道ということもあり、最低でもHEAT20のG2基準(UA値0.28)、できればG3基準(UA値0.20)を目指して計画中です。
しばらく先ですがマイホームが完成した際は、北海道で高気密高断熱住宅に住んでみた感想もレビューしたいと思っていますので、引き続きよろしくお願いします。
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光熱費がやっぱり安い
30代男性