こんにちは。
絶賛、マイホームを計画中の「ゆうき」です。
一級建築士として、現場監督や設計、工事監理の経験が10年以上あります。
・家づくりを始めるにあたって、どんな本がおすすめ?
・断熱性、気密性の良い家を建てたいけど、何から始めたらいい?
・「ホントは安いエコハウス」がとても良いって聞いたけど、実際どうなの?
こんな悩みを解決します。
今回は、松尾設計室の松尾氏の著書である「ホントは安いエコハウス」という書籍を紹介します。
この書籍は、主に断熱性や気密性の重要性について解説をしている本となっています。
実際に北海道でマイホームを計画している私も「断熱」「気密」は外せないポイントなので、参考にさせていただきました。
結論からいうと、一級建築士の目線から見ても「ホントは安いエコハウス」は、超おすすめの書籍です!
この記事を読むと、
- 「ホントは安いエコハウス」を買うべきかどうか
- 断熱性能、気密性能の重要性
- マイホームを建てるうえで大切なこと
がわかる内容となっています。
それでは、続きをご覧ください。
こんな方におすすめ
- 断熱・気密性の良いマイホームを建てたい!
- 家づくりで参考になる書籍が知りたい
- 「ホントは安いエコハウス」を買おうか迷っている…。
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タップできる目次
「ホントは安いエコハウス」とは?
まず最初に、この書籍については、以下のとおりとなっています。
ホントは安いエコハウス
- 著 者・・・松尾 和也(㈲松尾設計室 代表取締役)
- 発売日・・・2017年7月25日
- 定 価・・・本体2,200円+税
- 内 容・・・主に一戸建て住宅の断熱性、気密性の重要性を解説
「エコハウス」とは?
タイトルを見ると、聞き慣れない「エコハウス」という言葉があります。
エコハウスとは、エコロジーハウスの略です。
自然・再生可能エネルギーを、地域の気候風土や敷地の条件、暮らし方に合わせて最大限に活かしながら、無垢材や珪藻土など身近な地域にある自然素材を建材として使うことで、環境に負担をかけずに建てる家のことをいいます。環境共生住宅と、ほぼ同義語です。
エコハウスで生活すれば、エネルギー消費を抑制できるため、環境に負担をかけない(=エコロジー)のはもちろん、光熱費を抑えられる効果も得られます。
このため、環境省ではエコハウスの基本的な考え方を「環境基本性能の確保」「自然・再生可能エネルギー活用」「エコライフスタイルと住まい方」「地域らしさ」の4つのテーマとして、地域の特性を十分に活かした家づくりを推奨しています。
SUUMOより
住宅は、自動車と同じで電気やガス、暖房、冷房など、常にエネルギーを消費しています。
「エコハウス」は、それらの消費エネルギーを少しでも小さくすることで、環境に配慮し、ランニングコストを抑えることを目的としています。
つまり、エコな低燃費自動車と同じで、「エコな低燃費住宅」と言えますね!
著者(松尾和也氏)について
・1975年兵庫県生まれ
・九州大学工学部建築学科卒(熱環境工学専攻)
・㈲松尾設計室 代表取締役
・一級建築士、APECアーキテクト
・2005年に「サスティナブル住宅賞」を受賞
・講演を受講した設計事務所、工務店は、延べ5,000社以上
・youtubeチャンネル登録者数約3万人(2020年9月時点)
大学時代から熱環境(断熱やエネルギーなど)の研究を行い、今では多くの設計事務所や工務店が松尾先生の講演を受講し、技術力の向上を図っています。
特に、ドイツの最先端の省エネ技術を日本に積極的に取り入れる活動に力を入れています。
youtubeでは、データや根拠を示して、とてもわかりやすく断熱・気密の重要性について解説をしていますよ。
→松尾氏のyoutubeチャンネル
「ホントは安いエコハウス」のココがいい
それでは、本題の内容について解説していきます。
どの内容も目からウロコの内容ばかりなのですが、その中でも私がこれは知っておいたほうが良い!と思ったこと【7つ】を厳選して解説していきたいと思います。
1.「住宅貧乏」から脱出する6項目とは?
本書の中では、「住宅貧乏」から脱出する6項目と題し、マイホームを建てるときに、やったほうが良いという項目を6つ解説しています。
「住宅貧乏」から脱出する6項目
- U値1.7以下のサッシを使う
- C値は最低でも2.0以下、できれば1.0以下
- 冬の日射取得
- 夏の日射遮蔽
- 給湯器を太陽熱温水器+エコジョーズまたはエコキュートに
- エアコンで冷暖房
特に1と2については、この項目が満たせないほど予算が足りないのであれば、そもそも戸建て住宅を建てるべきではないと一刀両断しています。
今回はこの2つについて、解説します。
1.U値1.7以下のサッシを使う
U値1.7以下と言われてもピンとこないかもしれませんが、樹脂製のペアガラス(Low−E)が該当します。
そこまで高価なものでもないですし、最低限の断熱性能を有し、結露防止にも効果があります。
ちなみに私は、北海道ということもあり、全箇所の窓をさらに性能が高いトリプルガラスで計画しています。
比較的温暖な地方であれば、ペアガラスでも十分な場合が多いと思いますので、設計担当者とよく打ち合わせをして決めましょう。
2.C値は最低でも2.0以下、できれば1.0以下
C値というのは、気密性を表す値です。
UA値やC値については、別記事で詳しく解説していますので、よくわからないという方は、以下をご覧ください。
UA値、Q値、C値とは?初心者向けにやさしく解説!住宅業界の闇も…
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高気密・高断熱住宅で実績のあるハウスメーカーでは、きちんと気密測定を行ってるところが多いですが、まだまだ測定すらしていないところが多いのが現状です。
気密測定をしているのか、平均でどのくらいの数値が出るのかなど、展示場やオープンハウスで確認しましょう!
2.エアコンを選ぶときのポイントとは?
エアコンには、「何畳用」という表示がありますよね。
しかし、この畳数表示は、断熱がほとんどない住宅を想定した数値となっています。
つまり、高気密高断熱住宅でこの畳数をそのまま当てはめると、能力が高すぎることになってしまうので注意が必要です。
松尾氏が推奨している高断熱住宅であれば、14畳用200Vで約80畳(大きめの一戸建て住宅に相当)を冷暖房できると本書では記載されています。
そして驚くべきは、多くのメーカーの最大暖房能力は、14畳用のものも、20畳用のものも、26畳用のものも、ほとんど同じであるということです。
また、14畳用は100Vと200Vの両方の製品がある場合が多いですが、200Vの方が効率がよいとされています。
つまり、最も効率がよい(コスパがよい)のは、14畳用の200Vということになるんですね!
エアコンを買うときは、14畳用の200Vがベストなので覚えておきましょう。
3.日本は「窓」後進国!?
窓は、一般的に壁や屋根に比べ断熱性能が低く、断熱するうえでの弱点ともいえる部位です。
そのため、他の先進国などでは、窓の断熱性能について最低基準を設けていますが、日本では基準が存在しないのが現状です。
そのため、アルミサッシの1枚ガラスのように、Uw値(窓の断熱性能)が6.5というものすごく断熱性能が低い商品が今でも普通に取り付けられています。
以下は本書に記載してある各国の窓の断熱基準の一部です。
各国の断熱基準(低いほど良い)
- フィンランド・・・1.0
- ドイツ・・・1.3
- デンマーク・・・1.5
- チェコ・・・1.5
- オーストリア・・・1.3
これを見ると、どの国も日本よりも遥かに高い基準というのがわかりますね…。
本書を読めば、実際にどのようなサッシ・ガラスを選べばよいか、理解することができますよ。
4.窓から逃げる熱、入ってくる熱はどのくらい?
窓は壁や屋根よりも断熱性能が低いという話をしましたが、実際に窓から逃げる熱や入ってくる熱はどの程度なのでしょうか。
冬(外気-2.6℃)の場合
- 窓から逃げる熱・・・58%
- 外壁から逃げる熱・・・15%
- 屋根から逃げる熱・・・5%
- 床から逃げる熱・・・7%
- 換気で逃げる熱・・・15%
夏(外気33.4℃)の場合
- 窓から入ってくる熱・・・73%
- 外壁から入ってくる熱・・・7%
- 屋根から入ってくる熱・・・11%
- 床から入ってくる熱・・・3%
- 換気で入ってくる熱・・・6%
夏の場合は、庇などで日射を遮蔽しないと太陽の熱をもろに受けるため、値が冬よりも高くなっています。
「窓を制するものは、断熱を制する」といっても過言ではないですね!
5.レンジフードで月4,000円の損失!?
本書によると、レンジフードの「強」運転の換気量は、建築基準法で定められている換気量の約3〜4倍とのこと。
冬であればせっかく暖房で温めた空気を大量に屋外に捨てていることになります。
その熱量を金額に換算すると月4,000円以上になると本書では解説しています。
そんなに!?
でもレンジフードを止めるわけにもいかないし、どうすればいいの?
本書では、「同時給排気型レンジフード」をおすすめしているよ。
同時給排気型のレンジフードとは、排気だけではなく給気もできるようになっているレンジフードのこと。
「外の冷たい空気を一旦取り入れて、料理の湿気や煙とともにすぐ排気する」という方法を取ることで、室内の温められた空気を捨てる量を少なくできます。
6.「太陽に素直な設計」が大切な理由
「太陽に素直な設計」ってどういうこと?と思った方も多いと思います。
松尾氏が提唱する「太陽に素直な設計」とは「冬に日射を取り入れ、夏の日射を入れないこと」と本書では解説しています。
冬は、自然エネルギーの太陽光を目一杯取り込む(日射取得する)ことで、暖房費を減らすことができる(=お金になる)。
逆に夏は、太陽光をできるだけ遮る(日射遮蔽する)ことで、冷房費を減らすことができる(=お金になる)。
先に解説したように、窓から逃げる熱や入ってくる熱は他の部位よりも多いので、とても理にかなっていますよね!
ちなみに私の経験上、この日射取得と日射遮蔽を何も要望しなくても積極的に取り入れてくれるハウスメーカーや工務店は、ほぼ皆無です。
施主がこういったことを勉強して、設計当初から要望しないと太陽に逆らった設計(夏暑い&冬寒い&冷暖房費高額)になってしまう可能性が非常に高いのが現状です…。
7.30年以上住むなら断熱性能は、G2基準以上がベスト
最後は、断熱性能の基準についてです。
G2基準というのは、「HEAT20」という団体が提唱している断熱性能の基準で、G1〜G3まであります。
G3基準が最も断熱性能が高く、G2基準は2番目に高い基準となります。
断熱性能の基準もこちらの記事で解説していますので、よくわからないという方はこちらからどうぞ。
UA値、Q値、C値とは?初心者向けにやさしく解説!住宅業界の闇も…
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本書によると、30年以上住む場合、G2基準以上に合わせた断熱設計をすると、最もコスパが良くなるとのことです。
そして、ほとんどの場合、住宅は30年以上の長期間にわたって使用しますよね。
つまり「断熱性能が低くてもいい」という人は、自らお金を捨てているようなものですね…。
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「ホントは安いエコハウス」の著者、松尾氏が設計した物件を紹介
実際に松尾氏の設計した物件を見てみましょう。
本書で書かれていることをうまく形にしているのがわかると思います。
1.舞多聞の家
松尾設計室HPより
南面は開口部を多く取り、冬の日射を積極的に取り入れる設計となっていることがわかると思います。
また、長めの庇を設置することで、太陽高度が高い夏の日射を有効に遮ることができます。
本書で書かれている重要なことをしっかりと具現化されているのがわかりますね!
2.垂水の家
松尾設計室HPより
こちらの面は、南面ではありません。
南面以外は窓を極力小さくして、冬は熱が逃げるのを、夏は熱が入っていくるのを防止しているのがわかります。
窓から逃げる熱や入ってくる熱が大きいことを知っているからこその設計ですね!
3.箕面森町の家
松尾設計室HPより
天井が高く開放的で、白い壁と床・天井の木目のコントラストがきれいな内観ですね。
「天井が高いと暖かい空気が上部にたまり寒い」と思われている方も多いですが、断熱性能・気密性能を高めると、上部と下部の温度差はほとんどなくなり、天井が高くても快適な空間にすることが可能です。
とても素敵な空間ね!
「ホントは安いエコハウス」ネットの口コミ
それでは、「ホントは安いエコハウス」を実際に読んだ方の口コミを見てみましょう。
良い口コミ
この本を読めば、快適な家は確かに存在するということが納得できる。
しかし、今までは初期費用に意識が奪われてしまっていた。
本書を読んで、建売住宅という選択肢は消え、注文住宅の一択しかないと背中を押してくれた。
建売住宅は、金額が高いと売れないため、金額をかなり抑えた低い性能の住宅がたくさん世に売り出されています。
本当に快適な住まいを求めるなら、注文住宅一択ですね!
すべての人が読むべき本
30代男性
建築関係者、家づくりを考えている一般ユーザー、すべての人が読むべき本。
家づくりを始める一番始めに読むべきで、この本の内容をアタマにいれて展示場まわりなどが出来れば、こんなに間違った家づくりがまかり通っているのかと気付かされると思う。
この本は、専門家である工務店や設計事務所に勤務する方でも知らない内容が多くあります。
恥ずかしながら、実際、私も知らない内容が多くありました…。
この方がいうように、建築関係者、オーナー全ての人におすすめしたい一冊です!
悪い口コミ
専門的で難しい…。
20代女性
温熱環境の知識がないため、少し難しかった…。
本の内容の理解は理系の旦那に任せ、私は居心地のいい空間にするための勉強に時間をあてることにした。
確かに、あまり専門知識がない方が読むのは、少し大変かもしれません。
私も内容がよくイメージできないところがありました…。
ですが、一度にすべてを理解するのは難しくても、多くの図や表を使ってわかりやすく解説してくれていますので、少しずつ理解できるはずです。
もともと理系の方であれば、問題なく理解できる内容ですよ。
「ホントは安いエコハウス」を一級建築士がレビュー:まとめ
本書に書かれている内容は、専門知識がない方にとって目からウロコの内容となっています。
しかし、プロである設計事務所、ハウスメーカー、工務店の設計担当者であっても、本書の内容を知らない人が山ほどいるというのが、今の日本の住宅業界の現状です。
そして、良い工務店や有能な設計担当者を探し出すためにも、本書は必読だと私は思います。
じゃないと、建てたあとに後悔してしまうかもしれませんよ…。
そうならないためにも、本書を読んでしっかりとした知識を身につけ、最高に住み心地の良い家を建てましょう!
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快適な家は確かに存在する
30代男性