こんにちは。
絶賛、マイホームを計画中の「ゆうき」です。
一級建築士として、現場監督や設計、工事監理の経験が10年以上あります。
・新築で床暖房って必要?
・床暖房のデメリットって何?
・断熱、気密が良ければいらないの?
こんな疑問を解決します。
一条工務店が全館床暖房を採用し、その快適性は、かなり評判ですよね!
足元が温まる床暖房が快適なのは間違いありませんが、本当に必要なものなのでしょうか?
北海道の中でもかなり寒い、省エネの地域区分「2地域」で新築予定の私は、床暖房を採用しない予定です。
その理由も含めて、床暖房について解説します。
この記事の内容
- 床暖房とは
- 床暖房のメリット・デメリット
- 床暖房は気密性、断熱性が良ければ不要?
床暖房とは
床暖房とは、フローリングの下に電熱線や温水が流れる配管を埋設することで、床自体を温める暖房設備を言います。
略して、「床暖」ということが多いですね!
床暖は、大きく分けて以下の2種類があります。
床暖房の種類
- 電気ヒーター式
- 温水循環式
床暖房のメリット
床暖のメリットは、以下が考えられます。
床暖のメリット
- 足元が暖かい
- 火災リスクが低い
- ホコリを巻き上げない
- ヒートショック防止
1.足元が暖かい
足元を暖かくすると、快適ですよね。
しかし、温かい空気はどうしても上部に溜まりやすいので、床面からじわじわと体を温めてくれるととても快適です。
冷え性の方が多い女性には、床暖はとてもうれしい!
2.火災リスクが少ない
北海道や東北でよく使用されるFF式ストーブなどは、灯油を燃焼させ火気を使用するため、130~150℃程度の温風が出ます。
そのため、どうしても火災のリスクがあり、特に小さな子供がいる家庭では、注意が必要です。
床暖だと火気を使用しないですし、エアコン暖房も併用すれば火災リスクは、ほぼないですね!
3.ホコリを巻き上げない
ハウスダストアレルギーなどをお持ちの方で、ホコリが舞うと咳やくしゃみが止まらないという方にはとてもいいですね。
温風が出ず輻射で温めるので、ぽかぽかと気持ちいい暖かさも特長です。
4.ヒートショック防止
日本では、年間約17,000人の方がヒートショックで命を落としていると言われています。
その数は、交通事故死の約5倍なんです。怖いですね…。
一条工務店の全館床暖房のように、脱衣所や浴室まで床暖が入っていると、部屋間の温度差がほとんどなくなり、ヒートショック防止に効果があると考えられます。
床暖房のデメリット
メリットを見ると、とても快適そうで「是非採用したい!」と思えてきますが、当然デメリットもあります。
今度は、主なデメリット5つを確認していきましょう。
床暖のデメリット
- 設置費用が高い
- 光熱費がかかる
- メンテナンス費用がかかる
- 故障しても簡単に交換できない
- 無垢フローリングを採用できない
ひとつずつ見ていきましょう。
1.設置費用が高い
一番ネックになるのが、初期にかかる設置費用ですね。
もちろん、床暖房の種類や、ハウスメーカーや工務店によって異なりますが、約30坪の床面積全てに床暖房を設置すると、約300万円以上初期費用がかかると言われています。
これだけかかるなら、まずは断熱性や気密性を確保するためにお金をかけた方が良さそうですね…。
2.光熱費がかかる
SUUMOによると、
温水式→約3,900円/月
電気式→約6,800円/月
このくらいの光熱費がかかるとのことです。
この費用プラス、エアコンなどの暖房費がかかってきます。
3.メンテナンス費用がかかる
温水式床暖房の場合、不凍液の補充や5~10年おきの全交換が必要とされています。
また、床暖房よりも熱源の寿命の方が短いので、床暖専用で熱源を使用している場合は、この熱源の交換費用も考えなければなりません。
4.故障しても簡単に交換できない
床暖を交換するには、床のフローリングも一度はがす必要があります。
床暖の交換費用はもちろん、「せっかくならフローリングも新しくしよう」となる場合が多いと思われますので、フローリングの材料費や施工費も追加でかかることになります。
また、工事中はそのまま家に住むこと自体が難しいことが考えられます。
工事中は両親の家に居候させてもらう必要が出てくる場合もありそうですね。
5.無垢フローリングを採用できない
フローリングには、複合フローリングと無垢フローリングがあります。
無垢フローリングとは、素材そのものの質感を感じられるのが特長です。
しかし、床暖の場合は、熱による乾燥収縮や反りなどの不具合を生じることが多く、採用できない場合がほとんどです。
床暖対応の無垢フローリングもなくはないのですが、種類が限られてしまいます。
フローリングについては、別記事をご覧ください。
フローリングは無垢か複合か。メリットとデメリットを理解して選択しよう!
続きを見る
断熱・気密を高めれば床暖房は不要
上記のメリットやデメリットを理解して床暖を導入するのであれば、後悔することはあまりないと思います。
しかし、ベストなのは、床暖を設置しないでも床が暖かいこと。
このような家にするには、どうすればいいのでしょうか。
方法3つ
- 断熱性能を高める
- 気密性能を高める
- 無垢フローリングを採用する
ひとつずつ見てみましょう。
1.断熱性能を高める
外皮(外部に面する壁や床、屋根)の断熱性能を高めることによって、室内の上部と下部の室温が一定になり、足元だけが寒いということを避けることができます。
地域によって変わりますが、一般的にUA値でいうと0.5~0.6以下程度、寒冷地では0.4以下程度が高断熱の目安です。
また、窓の断熱性能を高めることによって、窓からのコールドドラフトを防止することも床の温度を高めるうえでは、重要です。
窓から逃げる暖気は全体の約6割とも言われており、床暖を設置する以前に、ペアガラスからトリプルガラスへのグレードアップは必須です。
ペアガラスとトリプルガラスの比較については、別記事で解説しています。
ペアガラスとトリプルガラスを徹底比較!【断熱性能・初期費用・ランニングコスト】
続きを見る
2.気密性を高める
気密性を高めるとがなぜ床を暖かい状態に保つことに繋がるのか、疑問に思われる方もいると思います。
先に申し上げたように、暖気は軽いので上昇する力が働きます。
すると、屋根付近のすき間から暖房で温めた空気がどんどん逃げていきます。
屋根から空気が逃げると内部の圧力が下がり、当然、他の箇所から外部の冷たい空気が入ってきます。
気密性の低さが、床が温まらない大きな原因だったんですね…。
下の図は、そのイメージです。
気密性を表すC値は、0.5以下程度が高気密と言われていますので、そのあたりの数値を出せるハウスメーカーや工務店に依頼するといいと思います。
UA値やC値については、別記事で解説していますので、そちらも是非ご覧ください。
UA値、Q値、C値とは?初心者向けにやさしく解説!住宅業界の闇も…
続きを見る
「家は性能」で有名な一条工務店や地域工務店のC値を知りたい方はこちらの記事へ。
【C値対決】一条工務店VS地域工務店
続きを見る
3.無垢フローリングを採用する
最後となりますが、正確には、「木本来の低い熱伝導率を活かした浸透性の塗料を塗った無垢フローリング」を採用することです。
浸透系の塗料は、表面に塗膜を作らず、木の肌触りを感じられるメリットがあるとともに、木本来の低い熱伝導率を損なわないのが特長です。
もちろん、無塗装の無垢フローリングでもOKです。
熱伝導率とは
熱伝導率とは、簡単にいうと「熱の伝わりやすさ」を言います。
材料によって、熱の伝わりやすさは違い、鉄やコンクリートは熱伝導率が高いため熱が伝わりやすく、木材は熱伝導率が低いため、熱が伝わりにくいと言えます。
対して、複合フローリングは、メンテナンス性を高めるために表面にウレタン系の塗料を塗ることが多いです。
ウレタン系の塗料は、表面がテカテカと光っており、水拭きなどが容易でメンテナンス性が良いのが特長です。
しかし、木材よりも熱伝導率が高いため、体温が奪われやすく冷たいと感じます。
フローリングは無垢か複合か。メリットとデメリットを理解して選択しよう!
続きを見る
床暖房のデメリット5つ!断熱・気密を高めれば床暖房は不要:まとめ
今回の記事は、断熱性・気密性を高め、無垢フローリングを採用すれば床暖は不要という内容でした。
他にも、床下暖房と言われる床暖房よりも安価で、足元を温められる工法などもありますので、いろいろと検討してみるといいでしょう。
私が家を建てる場所は、北海道で、省エネ地域区分は「2地域」です。
床暖房は採用する予定は今のところないので、実際に家が建ったら、北海道でも床暖は不要だということを証明したいと思っています。
最後に、今回の記事の執筆にあたり、松尾設計室の松尾先生のYouTube動画を参考にさせていただきました。
気密性が低いと床が温まらないということを、ソフトを使ってシミュレーションしていますので、是非ご覧ください。
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